自家用電気工作物の設置者の皆様へ

1.はじめに ー 当協会会員(電気管理技術者)への外部委託

 電気事業法第43条の規定に基づき、自家用電気工作物(高圧受電の電気設備など)を設置する者(設置者)は、専門の技術者(電気主任技術者免状の交付を受けている方)を雇用し、「電気主任技術者」として選任して国に届け出る必要があります。しかし、事情により雇用ができない場合は「外部の専門技術者(電気管理技術者)」に「委託(外部委託)」することができます。
 「電気管理技術者」は電気主任技術者免状の交付を受け、かつ一定期間以上の実務経歴を有する電気保安のエキスパートです。当協会は、そうした電気管理技術者が所属する一般社団法人であり、1969(昭和44)年に発足、1982(昭和57)年に通商産業大臣から社団法人として設立許可を受け、2013(平成25)年に一般社団法人へ移行した歴史を持っています。
 当協会に所属している電気管理技術者は、自家用電気工作物の通常点検(原則として月1回)や年次点検の実施に加え、自家用電気工作物にトラブルが発生した場合においても適切に対応いたします。また、日常の点検業務・試験業務での研鑽に加え、研修会等を通じ最新の情報を身につけており、外部委託先としてご期待に応えられます。万が一、自家用電気工作物のトラブルの責任が当協会の電気管理技術者にある場合には、賠償責任保険による補償体制も整備しています。

2.相談窓口

自家用電気工作物の保安管理業務の外部委託をお考えの設置者様、あるいは、保安管理業務を外部委託したいが、どこに相談、頼んだら良いか判らずお困りの設置者様のためにご相談に応じています。

支部相談窓口(身近な相談窓口)

当協会には9つの支部があり、相談窓口を開設しています。
ぜひ、委託したい事業所の所在地を担当する支部の相談窓口へ、お気軽にご相談ください。
「支部の区域」「支部相談窓口」をご覧ください。

本部相談窓口

協会本部においても相談窓口を開設しています。ご連絡をお待ちしています。

電話番号お問い合わせ先所在地
052-762-2838お問合せフォーム名古屋市千種区高見2-13-14
堀清ビル3階

3.自家用電気工作物とは

自家用電気工作物とは、電気事業法第38条において、「電気事業の用に供する電気工作物及び一般電気工作物以外の電気工作物」と定義されており、具体的には次のようなものが該当します。

(1)電力会社から600Vを超える電圧で受電して電気を使用する設備
(2)発電設備(小出力発電設備を除く。※1)とその発電した電気を使用する設備
※1 小出力発電設備
・出力50kw未満の太陽光発電設備
・出力20kw未満の風力発電設備
・出力20kw未満及び最大使用水量毎秒1立法メートル未満の水力発電設備(ダムを伴うものを除く)
・出力10kw未満の内燃力を原動力とする火力発電設備
・出力10kw未満の燃料電池発電設備
(固体高分子型のものであって、最高使用圧力が0.1MPa未満のものに限る。)
(3)電力会社等からの受電のための電線路以外に郊外にわたる電線路を有する電気設備

4.自家用電気工作物に係る保安体制

設置者は、自主保安と自己責任のもと公共の安全の確保及び保全を図るために、設置者自らが電気の保安を確保する義務があり、電気事業法の規定により、次のことを行う必要があります。

1)自家用電気工作物の維持

技術基準適合維持義務(電気事業法第39条)ー設置者は、自家用電気工作物を経済産業省令で定める技術基準に適合するように維持すること。

2)保安規程の判定、届出、遵守(電気事業法第42条)

設置者は、自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するために保安規程を定め、国に届け出ること。また、保安規程を変更した時は、変更した事項を国に届け出ること。設置者及びその従業員は、保安規程を守ること。

3)電気主任技術者の選任、届出(電気事業法第43条)

設置者は、自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために、電気主任技術者を選任し、国に届け出ること。これを解任したときも同様とする。このほか、電気事故が発生した場合は事故報告、廃止した場合は廃止報告、受電電圧1万V以上の需要設備、ばい煙発生施設等設置する場合は、工事計画届出等を行う必要があります。

5.保安規程の手続きについて

保安規程は、自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するために、設置者が定める規程です。

1)保安規程(変更)届出(電気事業法第42条第1項、第2項)

設置者は自家用電気工作物の使用の開始前に国(産業保安監督部長)に保安規程を届け出なければなりません。保安規程を変更したときも、遅滞なく、変更した事項を届け出なければなりません。

2)保安規程に定める事項(電気事業法施行規則第50条第1項)

保安規程には、主に次の項目について具体的に定める必要があります。

  • 電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の職務及び組織に関すること。
  • 電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する保安教育に関すること。
  • 電気工作物の工事、維持又は運用に関する保安のための巡視・点検及び検査に関すること。
  • 電気工作物の運転又は操作に関すること。
  • 発電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。
  • 災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること。
  • 電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての記録に関すること。
  • その他、電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安に関し必要な事項。

6.電気主任技術者の手続きについて

1)有資格者選任(電気事業法第43条第2項)

電気主任技術者免状の交付を受けている人を電気主任技術者として選任することをいいます。この場合「主任技術者選任又は解任届出書」により国(産業保安監督部長)に選任したことを届け出ることとなります。

2)有資格者以外の選任(電気事業法第43条第2項)

電気主任技術者免状の交付は受けていないが、電気設備に関し一定の知識・技能を有する人(例えば、電気工事士免状を持っている人、工業高校の電気科で規定の科目を修めて卒業した人等)を電気主任技術者として選任することをいいます。この場合「主任技術者選任許可申請書」により国(産業保安監督部長)の許可を得る必要があります。

3)兼任(電気事業法施行規則第52条第3項ただし書き)

同じ設置者がーの事業所又は設備の電気主任技術者として既に選任している者を自社の他の事業所の電気主任技術者として選任させることをいいます。この場合「主任技術者選任兼任承認申請書」により国(産業保安監督部長)の承認を得る必要があります。

4)保安管理業務外部委託(電気事業法施行規則第52条第2項)

電気管理技術者(電気設備の保安業務を専門に行っている個人事業者)又は電気保安法人(電気設備の保安業務を行っている法人)に保安業務を委託することをいいます。この場合「保安管理業務外部委託承認申請書」により国(産業保安監督部長)の承認を得る必要があります。

7.自家用電気工作物の「保安管理業務」に係わる「委託契約制度」について

下記における設置者は、国から一定の要件を満たすと認められた「当協会」所属の電気管理技術者と「委託契約」を結び、各地域の産業保安監督部に所定の書類を提出(申請)することにより、上記4)の承認を受けることができます。

(1)出力5,000kW未満の太陽電池発電所であって電圧7,000V以下で連系等をする事業場
(2)出力2,000kW未満の発電所(水力発電所、火力発電所及び風力発電所に限る)であって電圧7,000V以下で連系等をする事業場又は設置の工事のための事業場
(3)出力1,000kW未満の発電所(前二号に掲げるものを除く)であって電圧7,000V以下で連系等をする事業場又は設置の工事のための事業場
(4)電圧7,000V以下で受電する需要設備の事業場又は設置の工事のための事業場
(5)電圧600V以下の配電線路を管理する事業場

8.万全のバックアップ体制

当会員は、電気設備の保安管理業務を受託した施設の無事故、無災害をモットーに業務を行っております。しかし、万一業務上の過失に基づく事故が発生した場合に備えて、当会員は、原則的に賠償責任保険の適用を受けられることとしています。
会員の責任による事故で、お客様の財産に損害が生じた場合は、この賠償責任保険(1事故・最高5億円)で補償が受けられます。ご安心ください。

9.おわりに

当協会の会員は「明日の安全安心のため、確かな技術と真心で、お客様の設備をお守りいたします。」是非お役立て下さい。